2013年2月3日日曜日

2月のアジカルは「アジアの手仕事」

アジアへ広がる日本伝統工芸の技術

2月4日(月)中川 衛(なかがわ まもる)彫金作家
「人間国宝 台湾の金属工芸復活への道」

彫金・加賀象嵌(ぞうがん)の重要無形文化財保持者の中川さん。象嵌とは、埋め込むもの。
中川さんの技法は、金属にさまざまな材質や色の金属を埋め込んで模様にしていくもので、
発祥はトルコとされています。中国や台湾にもその技術がもたらされましたが、現在は、その
技術を継承しているのは、日本だけになっています。
中国や台湾の象嵌技術は消えてしまった今、日本で育まれてきた象嵌技術をアジアで復活するため、台湾の工芸家たちに指導を行っている中川さん。アジアで金属工芸復活に取り組む熱い思いを語って頂く。


2月5日(火)大樋年雄(おおひとしお)陶芸家
「アジアの土を焼く」

茶道の裏千家の茶器といえば大樋焼。大樋さんは350年以上の歴史を持つ大樋焼の後継者(十代大樋長左衛門)。中国、韓国、台湾、アラブ世界などアジア各地の「土」を使った創作と、その土地の人々と出会い、自ら新たな伝統を開こうとしています。また、海外から金沢に陶芸を学びに来ている方々にも英語で、土のぬくもり、技術と心を伝えている。日本と海外を行き来しながら、土で文化交流を行っている大樋さんの活動を紹介します。

女たちが紡ぐアジアの手仕事
2月12日(火)坂口里香(さかぐちりか)民族衣装収集家
「アジア少数山岳民族の刺繍に魅せられて」

タイの少数山岳民族、ヤオ族の刺繍には、精神世界が色濃く反映されており、彼らの手工芸品には、家族や隣人たちのために作られ、永い年月愛用されてきたものだけが持つ温かさと美しさがあります。ヤオ族は、もともと中国に住んでいましたが、ベトナムやタイに渡ってきました。今は、難民キャンプで暮らしている人も多く、女性たちは、さまざまな地域から集まってくる民族の刺繍に出会い、新しいデザインや手法を競いあうようになりました。それが、新たなデザインとして誕生しています。苦難の時代や民族の壁を超えて、女性たちが紡いできた刺繍の魅力を紹介します。


2月13日(水)森田わかな(もりたわかな)クロマー伝道師
「カンボジアの働く布 クロマー」

クロマーはカンボジアの人々の生活に深く浸透している万能スカーフで、素材は主にコットンの手織り布。スカートや風呂敷、エプロン、バッグ、上着やタオル、日よけなど、さまざまな用途に使えるクロマー。森田さんは、日本でこのクロマーに出会い、すぐカンボジアへと渡りました。そして、カンボジアの工房に赴き、日本でも使えるような色やデザインを女性たちと共に考え、作ってきました。カンボジアの女性たちは「食いぶち」として作ってきたクロマーが、新しいデザインを作るという創作意欲がわき、今では、織り手も3倍に増えたということです。そんな森田さんの活動を紹介します。